
『ゴーギャン タヒチ、楽園への旅』は、2017年製作のフランスの伝記映画。エドゥアルド・デルック監督が、19世紀後半の画家ポール・ゴーギャンの知られざる日々を描く。主演は『ブラック・スワン』のヴァンサン・カッセル。株式仲買人から画家へと転身したゴーギャンは、生活の困窮と家族との別離の果てに、理想郷を求めてタヒチへと渡る。現地で出会った美女テフラとの結婚、楽園に見えた日々、そして資金難と愛情の喪失を経て、ゴーギャンは苦悩と創作のあわいに身を置くことになる。
スタッフ
監督:エドゥアルド・デルック
製作:ブリュノ・レビ
脚本:エドゥアルド・デルック、エチエンヌ・コマール、トマ・リルティなど
撮影:ピエール・コットロー
美術:エマニュエル・キュイェリ
衣装:セリーヌ・ギナール・ラゴ
編集:ゲリック・カタラ
音楽:ウォーレン・エリス
配給:プレシディオ
公開:2018年1月27日
上映時間:102分
キャスト

ポール・ゴーギャン:ヴァンサン・カッセル
テフラ:ツイー・アダムス
マリック・ジディ
プア・タウ・ヒクティニ
あらすじ

1891年、株式市場の暴落で職も家庭も失ったゴーギャンは、芸術家として生きる決意を固める。わずかな資金を手にタヒチへ渡った彼は、現地の自然と人々に魅了され、若き女性テフラと結婚する。だが資金はすぐに尽き、極貧生活に逆戻りし、愛情さえも遠ざかっていく。楽園を夢見て訪れた南の島で、彼が見出したのは楽園ではなく、人間の生と欲望、そして創作の苦悩であった。
絵画レビュー:『ゴーギャン タヒチ、楽園への旅』

ゴーギャンにとって「楽園」とは現実ではなく、欲望の投影だった。パリを逃れ、文明を拒み、自然と素朴な生活の中に「真の自由」を見ようとした。しかしタヒチで待っていたのは、理想郷ではなく、貧困と孤独、そして自らの矛盾だった。
映画が示すのは、芸術家にとって楽園とは「行き着く場所」ではなく「永遠に到達できない幻影」であるということ。理想を追いかけて遠くへ行っても、そこには必ず人間の欲望と現実の壁が立ちはだかる。断絶こそが創造の源泉となる。楽園の不在は、むしろ作品を生み出す推進力となるのだ。
ゴーギャンは自然と女性をキャンバスに描きながらも、そこに自分自身の欠落を重ねていた。描いたのはタヒチの「現実」ではなく、自分が欲望した「もう一つの世界」である。その絵は、異国趣味や楽園幻想を超えて、人間の深層を照らし出す。
ゴーギャンの旅は「自由」を求めた逃避であり、同時に「不自由」を自ら引き受ける行為でもあった。楽園はどこにも存在しない。だが人はその幻を追うことをやめられない。その矛盾の只中でこそ芸術は生まれる。
『ゴーギャン タヒチ、楽園への旅』は、画家の伝記であると同時に、人間の永遠の問いを映し出す。楽園は存在するのか。それとも楽園を求め続ける行為こそが、人間の宿命なのか。
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ゴーギャンの映画
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