スタッフ
- 監督:静野孔文
- 脚本:櫻井武晴
- 原作:青山剛昌
- 音楽:大野克夫
- 制作:トムス・エンタテインメント
- 配給:東宝
- 公開:2015年4月18日
- 上映:112分
声の出演(キャスト)
- 江戸川コナン:高山みなみ
- 怪盗キッド/工藤新一:山口勝平
- 毛利蘭:山崎和佳奈
- 毛利小五郎:小山力也
- 阿笠博士:緒方賢一
- 鈴木園子:松井菜桜子
- 中森銀三:石塚運昇
あらすじ

ニューヨークで開催された《ひまわり》のオークション。幻とされていた“7枚目”が3億ドルで落札され、日本へやってくる。世界中の名画を護るべく集められた7人の精鋭「七人の侍」が輸送と保護にあたる中、怪盗キッドが大胆にも犯行を予告する。
コナンは、キッドの真の狙いが絵画そのものではなく、「事件の背後にある何か」であると疑い始める。燃えさかるような《ひまわり》、燃え落ちる美術館。すべては過去の事件と、そして“本物”の価値に繋がっていた。ゴッホの情熱を宿す名画を守るために、コナンは知恵と勇気で真相に挑む。
映画レビュー

人が死なない、小五郎が眠らない、コテコテのアート・ミステリー。移転前のSOMPO美術館が登場し、 ゴッホ《ひまわり》、ゴーギャン《アリスカンの並木路、アルル》、セザンヌ《りんごとナプキン》の3枚が並んでいる。SOMPO美術館の公式サイト「沿革」にはコナン映画への言及はないが、観客動員に大きく貢献したに違いない。
テオやゴーギャンの説明がなく、キッドの予告状の「ラ・ ベルスーズの左(最初の模写)」が出てくるのは、かなりのゴッホ通しか理解しづらい。だか、そこにコナンのヒットの秘密があるのも間違いない。マニア向けに書いた脚本ではなく、難解な話がトンネルとなり、その先の出口を観客に意識させる高等テクニック。
ラストに出てくる男と女の人間ドラマも完全にターゲットは20代以上。子どもはチンプンカンプンの迷宮入り映画。
だが、コナンはそれでいい。少年漫画は、いずれ社会に出ていく子どもたちが、その前に“世界”を疑似体験するための場。未知に出会い、想像力を働かせる。そこに少年漫画の本質がある。
ひとつの絵に、なぜ人はこれほど心を動かされ、命を懸けるのか。子どもたちには、まだその理由はわからない。自分たちの描いた「お絵描き」の延長が、人生を狂わせ、社会を混乱させる力を持ちうる。それが、アートの魔力。
そんな絵画をめぐって、怪盗キッドと江戸川コナン、対極にある2人が互いの立場を置き去りにし、同じ絵画を守ろうとする。その姿に、“美とは何か”というテーマが透けて見える。アートは、理屈を超えるパワーを孕んだもの。少年少女が大きくなってゴッホの絵を観れば、コナンとキッドの行動の理由がわかる。
テレビアニメの名作「ピアノソナタ『月光』殺人事件」は、多くの少年少女にベートヴェンの存在を知らしめ、そして魅了した。このアニメがきっかけで『月光』を弾きたくてピアノを始めた女性を知っている。『業火の向日葵』も、そんなアートの入り口になれば嬉しい。
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