シネマの流星

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『ゴッホ 最期の手紙』魂はどこまで歩いていけるのか

ゴッホ 最期の手紙

『ゴッホ 最期の手紙』(原題:Loving Vincent)は、2017年にポーランドとイギリスの合作で制作されたアニメーション映画。世界初となる“全編油絵アニメーション”によって、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの死の真相に迫るミステリードラマ。1万5000枚以上の油絵によって構成され、そのひとつひとつが画家ゴッホへの敬意と探究心に満ちている。Amazonプライムビデオ、Netflixなどで配信中。

スタッフ

『ゴッホ 最期の手紙』(原題:Loving Vincent)

  • 監督:ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン
  • 脚本:ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン、ジャック・ディーン
  • 音楽:クレント・マンスェル
  • 制作:ブレイクスルー・スタジオ、Trademark Films
  • 配給:Altitude Film Distribution(英国)、東北新社/STAR CHANNEL(日本)
  • 公開:2017年6月22日、2017年11月3日(日本)
  • 上映:95分

あらすじ

『ゴッホ 最期の手紙』(原題:Loving Vincent)

舞台は1891年、ゴッホの死から1年後。青年アルマン・ルーランは、父の依頼で、ゴッホが弟テオに宛てた最後の手紙を届けるために旅に出る。向かった先は、ゴッホが最期の時を過ごしたフランスのオーヴェル=シュル=オワーズ。

アルマンは村の人々からゴッホの死の直前の様子を聞き出すが、証言は食い違い、やがて“自殺”とされた死に疑問が浮かび始める。

ゴッホは本当に自ら命を絶ったのか? なぜ、何のために? 語られなかった真実を求めて、アルマンは少しずつ、絵の中のゴッホと心を重ねていく。

全編がゴッホ風の筆致で描かれたこの映画は、死を探るミステリーであると同時に、ひとりの芸術家を追い続ける“愛の手紙”でもある。

映画レビュー

『ゴッホ 最期の手紙』(原題:Loving Vincent)

こんな構想があったとは。いや、お見事。『永遠の門』に次いで、ゴッホのファンにおすすめしたい映画。途中まではゴッホの死の真相を探る探偵映画だが、最後に「ゴッホが描きたかったものは何か?」に迫っていく。100人以上の画家が描いた絵で構成されるアニメーションも必見。

《星月夜》の風景からカメラが町に下りていき、《ズアーブ兵》とルーランの息子アルマンが、ゴッホのことで喧嘩する。

《夜のカフェ》で《ミリエ少尉の肖像》の少尉が事情を聞く。《郵便配達人ルーラン》は《夜のカフェテラス》で、ゴッホの最期の手紙をテオに届けるよう息子に諭す。

画商の《タンギー爺さん》を訪ね、ゴッホの半生を教えてもらう。すでにテオが他界していることを知り、次に《医師ガシェ》を訪ねる。

《カラスのいる麦畑》などを抜けて、《ローヌ川の星月夜》へ。あまりにも見事な構成。

ゴッホの魂は黄金の麦畑をかき分けながら、一歩一歩、天国へと歩んでいく。死とは詩なのだ。死は終わりではなく、光の始まりなのだ。ゴッホの魂は浮遊しない。自分の足で歩いて行く。

この映画は、ゴッホだから成立するのか?いや、他の画家でも試してほしい。ぜひ、同じ映画をクロード・モネで。

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