シネマの流星

映画とは魔法。どこでもドアであり、タイムマシン。映画館の暗闇はブラックホール。スクリーンの光は無数の星たち。映画より映画館のファン

阪東妻三郎

阪東妻三郎おすすめ映画〜豪放で、無防備、その芝居は生きものだった

阪東妻三郎の映画を観ると、芝居の「大きさ」に圧倒される。誇張ではない。画面に奥行きがあり、動きに幅があり、ひとり立つだけで場の空気が変わる華がある。その大きさは豪放さだけで成り立ってはいない。 打ち上げ花火のような豪快さの内側に、線香花火の…

『忠臣蔵 天の巻・地の巻』〜送り出す覚悟、受け取る沈黙、剣を抜かずに、すべてを斬る

『忠臣蔵 天の巻・地の巻』は、1938年に公開された日本映画。監督はマキノ正博と池田富保。主演は阪東妻三郎。日活が総力を挙げ、東西撮影所のスターを結集して製作した大作であり、赤穂事件の発端から城明け渡しまでを描く、いわば「討入り以前」に焦点を当…

『阪妻-阪東妻三郎の生涯』〜走り続けた男が、時代になった

『阪妻-阪東妻三郎の生涯』は、1980年に完成した日本映画史屈指の俳優・阪東妻三郎のドキュメンタリーである。製作・演出は活弁士の松田春翠。構成とインタビューを、映画評論家の佐藤忠男が担当した。 サイレント時代の名場面を軸に、息子・田村高廣、女優…

『破れ太鼓』〜強さが壊れた日、家族の音が聞こえた

『破れ太鼓』は、1949年に公開された日本映画。監督は木下惠介。主演は阪東妻三郎。成り上がりの土建屋である頑固親父・津田軍平が、家族を「力」と「金」と「古い正しさ」で支配しようとして、反発と離脱に遭い、孤独の底でようやく自分の姿を見つけ直して…

『無法松の一生』〜無法という誠実、雪に消えて、男は完成した

『無法松の一生』は、1943年に公開された日本映画。原作は岩下俊作『富島松五郎伝』。北九州・小倉を舞台に、喧嘩っ早い人力車夫・富島松五郎の、生々しい体温と、その最期までを描く。 スタッフ 監督:稲垣浩 脚本:伊丹万作 原作:岩下俊作 製作:中泉雄光…

『雄呂血(無頼漢)』〜群れない正しさは血を流す、体制に背を向けた男の美学

『雄呂血』(おろち)は、1925年に公開された無声映画。監督は二川文太郎、主演は阪東妻三郎。阪妻が東亜キネマから独立し、自らのプロダクションを立ち上げた第1作であり、のちの「剣戟ブーム」を決定づけた記念碑的な一本である。 スタッフ 監督:二川文太…

『血煙高田の馬場(決闘高田の馬場)』〜走った先に血煙が残る

『血煙高田の馬場』は、1937年に公開された日本映画。監督はマキノ正博。主演は阪東妻三郎。忠臣蔵のエピソードで有名な「高田馬場の決闘」を題材にしている。第二次世界大戦後の1952年(昭和27年)、51分に短縮され、『決闘高田の馬場』として再公開された…

『忠臣蔵 赤垣源蔵 討入り前夜』〜声を上げない忠義、雪の朝まで、黙って耐えた夜明け

『忠臣蔵赤垣源蔵 討入り前夜』は、1938年に公開された時代劇映画。赤穂浪士四十七士の一人・赤垣源蔵(享年35)を主人公に、討ち入りの前夜に訪れる“別れの時間”を描いた忠臣蔵。酒に溺れ、自堕落に見える日々の奥に、決して揺らがぬ覚悟を秘めた男の姿を、…

阪東妻三郎『王将』〜白煙に消える一手、通天閣に宿る光の美学

『王将』は、1948年公開の日本映画。北條秀司が1947年に発表した戯曲『王将』の初の映画化で、将棋棋士・坂田三吉の半生を描く。妻・小春との愛情、貧困と執念、そして勝負師としての矜持を通して、明治から大正にかけての大阪庶民の気風と人情を描いた作品…