監督論
私は夢の中でも映画を撮る。カメラさえあれば。 ヴィム・ヴェンダースに触れたのは2024年。映画ファンとして、あまりにも遅すぎる。しかし、映画はタイミング。作品は変わらないのに、いつ観るかによって印象は大きく変わる。昭和でも平成でも2023年の終わり…
夏の入道雲を眺めるたび、大学生の頃、彼女を自転車の後ろに乗せて京都の鴨川沿いを走っていた日を思い出す。そう話してくれた人がいた。 新海誠が「音」を操るマエストロなら、細田守は「絵」の語り部。どこまでも視覚的であり、絵が物語る。絵本の世界に迷…
子どもの頃からアニメや戦隊モノを見ても、主人公よりライバルに惹かれていた。双子に生まれ、マジメな弟と比較され、劣等感を抱えていたことが影響したのだろう。主役の引き立て役となる影に、自分を重ねていた気がする。 『シンドラーのリスト』を見ても、…
令和は元年に台風19号ハギビスで幕を開け、翌年にはウイルスによって人間不信が蔓延していった災害の時代。 しかし、令和四年を迎えるにあたってようやく一筋の光が射した。悪夢を白昼夢に変えてくれる存在が現れた。 18歳から映画を観続けて20年。初めて日…
歳をとると早起きになるのは、朝の光に恋をするからだ。 クリント・イーストウッドの監督50周年にして40作目の映画『クライ・マッチョ』は朝の場面が多い。 メキシコの曙光が、91歳のイーストウッドを祝福する。主人公は14歳のラフォとも言えるが、主演、監…
梅雨が早々に明けた令和三年7月の東京。緊急事態宣言中でも、ようやく映画館の20時以降の上映が解禁。映画は暗闇の中で観るものであり、夜の芸術。映画館はブラックホールであり、役者は星であり、スクリーンはプラネタリウム。本来、休日は登山に出かけるは…
去年の1月にTwitterを始めたとき、大学生の男性と相互フォローをした。映画が好きで、作品の解説をYouTubeにアップしていた。 その感想をTwitterにコメントすると「そんな見方があるんですね!」「その表現とても好きなので使わせてください!」と反応してく…