シネマの流星

映画とは魔法。どこでもドアであり、タイムマシン。映画館の暗闇はブラックホール。スクリーンの光は無数の星たち。映画より映画館のファン

ニューシネマ

『タワーリング・インフェルノ』〜高く建てすぎた夢に、逃げ道はあったのか

『タワーリング・インフェルノ』(原題:The Towering Inferno)は、1974年に公開されたアメリカ映画。ワーナー・ブラザース映画と20世紀フォックス映画という二大スタジオが手を組んだ、当時としては破格のスケールを誇るパニック映画である。 地上約550メ…

『アメリカン・グラフィティ』〜青春は終わったあとに始まる

アメリカン・グラフィティ(原題:American Graffiti)は、1973年に公開されたアメリカ映画。1962年のカリフォルニア州モデストを舞台に、高校を卒業した若者たちが、それぞれの未来へと向かう直前に過ごす「最後の一夜」を描いている。 物語は一晩の出来事…

『ドラゴン怒りの鉄拳』〜セリフを持たない革命 、映画の文法を変えた肉体

『ドラゴン怒りの鉄拳』(原題:精武門)は、1972年に公開された香港映画。主演はブルース・リー。『ドラゴン危機一発』に続く第2作であり、香港公開後わずか2週間で興行記録を更新、アジア全域に衝撃を与えた。 20世紀初頭の上海を舞台に、師の死の真相を追…

『ゴッドファーザー PART II』〜父は家族を得て、息子は家族を失った

『ゴッドファーザー PART II』(原題: The Godfather Part II )は、1974年に公開されたアメリカ映画。1972年の『ゴッドファーザー』の続編であり、前日譚でもある。 スタッフ 監督:フランシス・フォード・コッポラ 脚本:マリオ・プーゾ、フランシス・フォ…

『ラスト・ピクチャー・ショー』〜何も起こらない町で、すべてが終わっていく

『ラスト・ショー』は、1971年に公開されたアメリカ映画。原作はラリー・マクマートリーによる同名小説で、1950年代初頭のテキサスの小さな町を舞台に、若者と大人たちが迎える静かな終わりを描いている。全編モノクロで撮影された。 スタッフ 監督:ピータ…

『真夜中のカーボーイ』〜撃つ力なき放浪者の反逆、アメリカを拒絶する友情

『真夜中のカーボーイ』(原題:Midnight Cowboy)は、1969年製作(日本公開1969年)のアメリカ映画。監督はジョン・シュレシンジャー、脚本はウォルド・ソルト。ジェームズ・レオ・ハーリヒーの同名小説を原作とし、主演はジョン・ヴォイトとダスティン・ホ…

『ビッグ・ウェンズデー』〜波は去る、だから人生は続く

『ビッグ・ウェンズデー』(Big Wednesday)は、1978年に制作された、サーフィンを通して三人の若者を描いた、アメリカ合衆国の青春映画である。井筒監督は、この作品を奈良の尾花劇場で観た。「これが僕にとっての『ラスト・ショー』だ」と、著書で語ってい…

『デリンジャー』〜赤いドレスの先、神話の空席

『デリンジャー』(原題:Dillinger)は、1973年制作のアメリカ合衆国の映画。ジョン・ミリアス。ミリアスの映画監督デビュー作品である。1930年代に実在したギャング、ジョン・デリンジャーを描く。 スタッフ 監督・脚本:ジョン・ミリアス 製作:バズ・フ…

『バニシング・ポイント』〜疾走だけが、男を自由にした、名前を捨てて、アクセルを踏む

『バニシング・ポイント』は、1971年に公開されたアメリカ映画。荒野と高速道路を舞台に、一台の車と一人の男が、ひたすら前へ進み続けるロードムービーであり、同時に70年代アメリカの空気そのものを封じ込めた作品である。 白いダッジ・チャレンジャーが走…

『特攻大作戦』〜英雄になれない男たちが、最後に“自分を選んだ

『特攻大作戦』(The Dirty Dozen)は、1967年に公開されたイギリス・アメリカ合作の戦争映画。監督はロバート・アルドリッチ。E・M・ナサンソンの小説『12人の囚人兵』を原作に、死刑囚や重罪犯で構成された部隊が、ノルマンディー上陸作戦前夜に“成功して…

『ザ・ドライバー』〜沈黙と速度、名前を失った男たちの映画

『ザ・ドライバー』(The Driver)は、1978年に公開されたアメリカ映画。監督・脚本はウォルター・ヒル。犯罪者を乗せて逃走を請け負う無名の男と、ドライバーを執拗に追う刑事との対決を、極限まで削ぎ落とした台詞と研ぎ澄まされたカーアクションで描くハ…

『愛のメモリー』〜記憶という牢獄、男は女ではなく“失われた時間”を愛していた

『愛のメモリー』(原題:Obsession)は、1976年のアメリカ映画。アルフレッド・ヒッチコック『めまい』へのオマージュとして構築されたサイコスリラーであり、“喪失した女性をもう一度つくり直そうとする男”という欲望を、デ・パルマは宗教画のような映像美…

『ロンゲスト・ヤード』〜人生の一番長いヤードは、自分への距離

『ロンゲスト・ヤード』(The Longest Yard)は、1974年に公開されたアメリカ映画。監督はロバート・アルドリッチ。主演はバート・レイノルズ。堕ちた元NFL選手が、囚人たちを率いて看守チームと対決するフットボール映画でありながら、その内側には「人間は…

『イージー・ライダー』〜アメリカ神話の焼却炉、自由は燃え尽きても、道は残る

『イージー・ライダー』(原題:Easy Rider)は、1969年公開のアメリカ映画(日本公開1970年)。監督はデニス・ホッパー、製作はピーター・フォンダ。コカイン密売で得た大金をガスタンクに隠し、ハーレーにまたがって「真のアメリカ」を探す二人のヒッピー…

『サブウェイ・パニック』〜ニューヨークは地下で息をする、都市の血管が切れた瞬間

『サブウェイ・パニック』(The Taking of Pelham One Two Three)は、米国の作家ジョン・ゴーディが1973年に発表した犯罪スリラー小説を映画化したもの。新人監督時代に観た井筒和幸は「これから映画を撮ろうと考える若手は見ないほうがいい。100年かかって…

『俺たちに明日はない』〜勃たぬ男と孕む女、蜂の巣の絶頂、ニューシネマの出産

『俺たちに明日はない』(原題:Bonnie and Clyde)は、1967年製作(日本公開1968年)のアメリカ映画。監督はアーサー・ペン、脚本はデヴィッド・ニューマン/ロバート・ベントン。 世界恐慌下、ウェイトレスのボニーと前科者クライドが恋に落ち、盗んだ車で…

『暴力脱獄』〜檻の中で自由は笑う、立ち上がるたび伝説、ブルーアイズの反逆者

『暴力脱獄』は、1967年公開のアメリカ映画。監督はスチュアート・ローゼンバーグ、主演はポール・ニューマン。フロリダの刑務所を舞台に、社会のシステムに組み込まれることを拒み続ける囚人ルーク・ジャクソンの抵抗と、その余熱を描く。原作は元受刑者ド…

ペーパー・ムーン〜紙の月がいちばん眩しい夜、本物よりも明るい嘘

公開年:1973年5月9日(日本:74年3月9日) 監督:ピーター・ボグダノヴィッチ 出演者:ライアン・オニール、テータム・オニールなど 撮影:ラズロ・コヴァックス 配給:パラマウント映画 上映:103分 あらすじ 聖書を売り付けて小金を稼ぐ詐欺師モーゼは、…

『さらば冬のかもめ』〜刑務所までの青春、ビールとマスタードの革命

『さらば冬のかもめ』は、1973年製作(日本公開1976年)のアメリカ映画。監督はハル・アシュビー、脚本はロバート・タウン。海軍下士官のバダスキーとマルホールが、募金箱から40ドルを盗んだ新兵メドウズを海軍刑務所まで護送する。ただそれだけの任務の道…

『ロッキー』がなぜ人生ベストムービーなのか?

人生のベストムービーを訊かれると、迷わず『ロッキー』と即答する。すると、質問者の表情がこわばり、頭の中に「?」が浮かぶのが見える。「なぜ?」と聞かれるが、その問いには疑問以上のニュアンスが含まれている。「本気で言ってるの?」とでも言いたげ…

スケアクロウ〜カカシという名の自由の女神

映画レビュー なぜアメリカン・ニューシネマが人生を変えるのか?なぜ映画史上、最高密度なのか。『スケアクロウ』を観れば、その理由がわかる。 暴力でしか自分を防衛できないマックス(ジーン・ハックマン)、人を笑わせる“フリ“でしか存在を確かめられな…