シネマの流星

映画とは魔法。どこでもドアであり、タイムマシン。映画館の暗闇はブラックホール。スクリーンの光は無数の星たち。映画より映画館のファン

ドキュメンタリー

『エンドレス・サマー』〜夏は終わる、更新は終わらない

『エンドレス・サマー』(The Endless Summer)は、1966年に公開されたアメリカのドキュメンタリー映画である。監督はブルース・ブラウン。自らカメラを回し、二人の若きサーファーとともに世界を巡り、「夏を追いかけ続ける」という単純で大胆な発想を映画…

『阪妻-阪東妻三郎の生涯』〜走り続けた男が、時代になった

『阪妻-阪東妻三郎の生涯』は、1980年に完成した日本映画史屈指の俳優・阪東妻三郎のドキュメンタリーである。製作・演出は活弁士の松田春翠。構成とインタビューを、映画評論家の佐藤忠男が担当した。 サイレント時代の名場面を軸に、息子・田村高廣、女優…

『リュミエール!』〜映像とは、視点の詩、そのカメラは、世界と約束した

『リュミエール!』(原題:Lumière! L’aventure commence)は、2016年に制作されたフランスのドキュメンタリー映画。監督・脚本・ナレーションを務めるのは、カンヌ国際映画祭ディレクターとして知られるティエリー・フレモー。 本作は、オーギュストとルイ…

『ウィークエンド・チャンピオン モンテカルロ1971』〜時速300キロの孤独

『ウィークエンド・チャンピオン』(原題:Weekend of a Champion)は、1971年に撮影されたドキュメンタリー映画。監督はフランク・サイモン、製作はロマン・ポランスキー。1971年のモナコ・グランプリに挑む若きF1レーサー、ジャッキー・スチュワートの週末…

『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道』〜コピー機で世界を裂く、匂いと毒を写す眼

『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道』は、写真界の巨匠・森山大道を追った2020年製作のドキュメンタリー映画。監督は岩間玄。2019年に「ハッセルブラッド国際写真賞」を受賞し、80歳を超えてなお現役で活動を続ける森山の姿に迫る…

『クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代』〜包み込む黄金、切り裂く線、美か死か、その先へ

『クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代』は、2018年製作のイタリア発ドキュメンタリー。世紀末ウィーンを象徴する画家グスタフ・クリムトとエゴン・シーレの没後100年にあわせ、官能と死、装飾と解剖という相反の力が交錯した時代精神を、名作群と当…

『レオナルド・ダ・ヴィンチ 美と知の迷宮』未完成こそ天才、終わらない問いが芸術になる

『レオナルド・ダ・ヴィンチ 美と知の迷宮』は、2016年製作のイタリアのドキュメンタリー映画。ルカ・ルチーニとニコ・マラスピーナが監督を務め、ルネサンス期を代表する芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチの多彩な才能と謎に満ちた人物像に迫る。ダ・ヴィンチ…

『ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ』退廃か、自由か、奪還されるのは名画か、人間の尊厳か

『ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ』は、2018年製作のイタリア・フランス・ドイツ合作のドキュメンタリー映画。クラウディオ・ポリ監督が、ナチス・ドイツがヨーロッパ全土で行った美術品の略奪と、それに翻弄された人々の運命を描く。1933年から45…

『アートのお値段』〜値札のついた魂たち、絵画は誰のものか?

『アートのお値段』は、2018年に制作されたアメリカのドキュメンタリー映画。現代アート市場の裏側に迫り、アートとお金の関係性を多角的に描く。 スタッフ 監督:ナサニエル・カーン 製作:カーラ・ソロモンなど 撮影監督:ロベルト・リッヒマン 音楽:ジェ…

『ゴッホとヘレーネの森 クレラー=ミュラー美術館の至宝』魂を見つめる眼差し

『ゴッホとヘレーネの森 クレラー=ミュラー美術館の至宝』(原題:Van Gogh – Of Wheat Fields and Clouded Skies)は、2018年にイタリアで制作された90分のアート・ドキュメンタリー映画。画家フィンセント・ファン・ゴッホの作品を、生前にはほとんど評価…

『フェルメールの謎 ~ティムの名画再現プロジェクト~』芸術とは、時間と絶望、閃きよりも、執念である

『フェルメールの謎 ~ティムの名画再現プロジェクト~』(原題:Tim's Vermeer)は、2013年にアメリカで制作されたドキュメンタリー映画。17世紀オランダの画家ヨハネス・フェルメールの超写実的な絵画は、いかにして描かれたのか。美術の専門家ではない発…

『レンブラントは誰の手に』魂に値段をつけるということ

『レンブラントは誰の手に』(原題:My Rembrandt)は、2019年にオランダで制作された101分のドキュメンタリー映画。​17世紀オランダの巨匠レンブラントの絵画を巡り、美術に取り憑かれた人々の情熱と欲望を描くドキュメンタリー。​日本では2021年2月26日に…

『ゴッホ:天才の絵筆』なぜゴッホの絵は、透明なのか?「成功よりも、真実を描いた画家

『ゴッホ:天才の絵筆』(原題:Moi, Van Gogh / Gogh: A Brush With Genius)は、2009年にフランスで制作された40分のドキュメンタリー映画。ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの画業と人生を、IMAX技術を駆使した映像体験として再現する。Prime Videoで配信され…

『ゴッホ 真実の手紙』名優と名文の競演

『ゴッホ 真実の手紙』(原題:Van Gogh: Painted with Words)は、2010年にイギリスで制作されたBBCの50分のドキュドラマ作品。画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホが生前に弟テオや友人たちに宛てた膨大な書簡をもとに、ゴッホの人生と内面を再構築する。Ama…

「スライ:スタローンの物語」50万ドルよりも誇りを選んだ男

この世で一番好きな俳優のドキュメンタリー。Netflixオリジナル映画。 映画は、小鳥の鳴き声とともに幕を開ける。ビバリーヒルズの豪邸が映し出される中、スタローンの低く渋い声が響く。 「人生で後悔はあるかって?もちろんある。だが、それが原動力にもな…

映画『ファイト』大仁田厚の電流爆破と空振り三振の美学

人生最良の日は?と訊かれたら2000年7月30日、横浜アリーナで長州力vs.大仁田厚を観た日と答えている。引退試合のテレビを見て好きになった長州力。生では観られないと諦めていた男をリングに戻してくれた。大仁田厚の電流爆破は宇宙が生まれるビッグバン。…

映画『WILL』と東出昌大の舞台挨拶と

2013年に上京したとき7ヶ月間ニートだった。その間に観たのが新宿のプラネタリウムで上映していた『桐島、部活やめるってよ』。あのとき東出昌大が見せてくれたものは、その後の何年間かの僕を動かしてくれた。強い者を唯一超えられるのが弱者。それを東出昌…